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たシステムが実用化されつつある。1997年1月からサービス開始予定の宇宙通信の「Direc PC」の1メニュー「ターボインターネット(提供予定)」や、97年11月開始予定の日本サテライトシステムズ(JSAT)の「衛星インターネット接続サービス(仮称)」などは、下り回線片方向のみ使用する。この理由としては、インターネットの利用においては下り回線のデータ量が多い傾向にある上、デジタル多チャンネル放送の開始とともに小型で低価格の受信機が開発されつつあることが考えられる。

また、WIDE(Widely Integrated Distributed Environments)プロジェクトのWISH(Wide Internet with Satellite Harmonaization)のように、双方向とも衛星を利用するシステムも実用化されている。

わが国において懸案となっていたNTTの分離・分割問題は、1996年3月のNTTのあり方に関する閣議決定によって1年先送りとなったが、その後郵政省とNTTとの交渉の結果、96年12月に合意に達した。この結果、NTTを純粋持ち株会社のもとに東西2社の地域会社と長距離会社に再編する(再編時期は99年末予定)。再編された持ち株会社と2社の地域会社は特殊会社とされ、長距離会社は純粋民間会社となる。

これによって、長距離会社はNTT法の制約からはずれ、国際通信事業にも進出可能となる。

この決着によって、わが国の電気通信産業もようやく新しい段階に到達したことになり、今後は再編されるNTTだけでなくKDDやNCCも新しい競争の場へと乗り出すことになる。

 

2-3-2 ネットワーク化の進展

(1)わが国における情報通信ネットワークの動向

わが国においては、1985年の電気通信事業法の施行が大きな転換期となり、これ以降電気通信におけるほぼ全分野にわたる競争の原理の導入によって飛躍的に進展することとなった。1986年にはNCC(New Common Carrier)と称される新規の第1種電気通信事業者が専用線サービスを開始し、さらに翌年半ばには市外電話サービスを開始した。

また、第一種電気事業者から電気通信設備の提供を受け、独自のネットワークを形成して利用者にデータ伝送サービスを実施する第二種電気事業者、いわゆるVAN業者が新たな情報通信サービス業として脚光を浴びることになった。

 

 

 

 

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